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●今日の100点より、毎日の95点

 パンをつくる技術で一番難しい点は何か?
25年間焼いてきて思うことは、
★パンが「酵母」という生き物を主役にした食べ物であること。
につきる。
 「酵母」の働きは、温度、湿度に左右され、また「酵母」自身の
活性度にも熟成が影響を受ける。その結果、今日焼いたパンと
明日、焼いたパンとの違いが出やすい。
 パン職人の技術をみる「ものさし」として1年を通してどれだけ
製品のぶれがない状態にできるか?これは、非常に重要なポイントだと
思います。

 「今日の100点より、毎日の95点」これを目指しています。

●夕方に食パンのある風景

 夕方にパン屋さんに行きます。そこで食パンの棚を見ます。
いつ行っても、夕方、棚に食パンがいっぱいあるパン屋さんは
翌日に食パンを売り越すことを前提にパンを焼いています。
当日、焼成した食パンをスライスして出すためには、かなり
早朝から仕込み、焼成をする必要があります。
 その手間を省くために前日に焼成して、スライスを当日する
ことにより朝の仕事量を減らしているパン屋さんも多く見受け
られます。個人的には、パンを翌日に売り越すことはポリシーに
反するので残ったパンは処分していますが、そうするとなるべく
パンが残らないようにつくるためどうしても夕方、パンが品薄に
なります。
 夕方、来店して翌日朝のためにパンを買いにいらっしゃる
お客様をがっかりさせてしまう姿を見る度に「申し訳ありません。」
と思いつつも繰り越して売りたくないのでがまんしてください。と
「こころ」の中で念じています。

●パン職人として必要な資質とは

 パン職人として必要な資質は何か?
個人的に感じていることだけど、パン職人とケーキ職人とは
要求される資質が違うような気がします。大胆な見方を
するとパン職人は「繊細さの中にも大雑把な行動がとれる人」
ケーキ職人は「繊細かつ緻密な行動をする人」っていう
感じかなぁ。
 ケーキは細かな装飾的な作業が多く、生地もベーキングパウダーで
膨張されるため仕込み〜焼成までの時間管理が比較的しやすく
職人としての技術の差は「細やかな手先の技術」の差が
評価される世界だと思う。
 それに対してパンは、「酵母」を相手にしているため仕込んだ
生地は時間とともに変化していく。つまり、常に時間と戦っている。
パンの種類に応じて仕込みの数も多くなるため、同時進行で
いろいろな種類の生地の仕込み、成型、焼成が交錯し仕込みながら
焼成しながら、成型するのは当たり前の世界。今、何をするかの
判断力が製品の出来具合に大きく影響する。細かな点にすべて
こだわるのは理想だが、時間と常に戦っているため1分1秒の時間
短縮できるかどうかが、とても重要になってくる。
 そのためには、個々の作業のポイントは何かを瞬時に的確に判断し、
ポイントは押さえて、ポイントからはずれる細かな点に対する
こだわりは捨て去る潔さが、★★★★★
 「繊細かつ大雑把」これがパン職人に必要な資質だと思います。

●「おいしさ」より大切なこと

 先日、ある有名なラーメンのチェーン店で食事をしたときの
ことです。
「マグロとろろセット」というメニューを注文したところ、
ご飯の上にのっている「マグロ」の色が部分的に薄黒く変色
していました。生ものでもあるし、危ないと思い店員に
「変色しているが大丈夫なのか?」と聞いたところ、
店員はご飯を厨房に持ち帰りました。
しばらくすると、厨房からそれをつくったとおぼしき店員が
やってきて、「色は変色しているが味は問題ない」という内容の
話をするではないですか。その手にはさっき引き上げたはずの
黒ずんだマグロののったご飯を持っており、
別の小鉢にも黒ずんだマグロがのせてあった。そしてこう言った。
「ほかのも、みんなこういう色をしていますから」

 もうひとつこんな話。昔会社員時代。ある有名な百貨店の
魚屋の話。
そのバックヤードの冷凍庫は共同厨房だったが、それはそれは
汚い冷凍庫だった。冷凍庫の床には色々な冷凍製品が散乱していて
床には新巻鮭がよく落ちていて冷凍庫の高い場所のものをとるための
「踏み台」にしていた。その魚のそばにはアイスクリームも
転がっていた。暗くじめじめした薄汚れたバックヤードでは
その魚屋は魚の開きをよく干していた。
 それらは、店頭ではきれいなショーケースに並べられ高級そうに
売られていた。

 あなたは、この話をきいてどう思いますか?
食品を扱う仕事をしてもう25年以上になりますが最近つくづく
感じます。
「おいしいということと、衛生的であるかどうかは別」
「安全衛生に対する感覚は人によりかなりの差がある。」

 どんなに一流と呼ばれるシェフでもテレビで「腕時計」や
「指輪」をはめて平気で調理するひとが本当に一流なのか?

食品は、「味」以前に「安全と衛生」の観点から見るべき。

食品をつくる側からの提言です。

●食べなくてもおいしいパン屋さんを見分ける方法

●食べなくても、おいしいパン店かどうか見分ける方法

 ★まず、作っている工房を見ます。見る場所は最初に床。
床はパンを作っていると常に小麦粉を使用するので、
かなり気をつけていないと、どうしても粉だらけになります。
作業中の床が粉だらけだったり、汚れで黒ずんでいないか見ること。
 次に作業している人を見ます。帽子をかぶっていない人は
論外。エプロンの汚れ具合をチェック。サンドウィッチを
製造している人がいれば、その人がマスクをしているか?
 以上でそのパン屋さんの食品に対する考え方が、わかります。
おいしいパンの前提として、パンが食品であることを考えれば
「おいしい」以前の問題として、「安全で衛生的」であることが
重要なポイントだからです。床が、粉だらけで仕事をしていても、
エプロンが真っ黒の状態でパンを作るようなパン職人は、あなたから
見えないほかのすべての場面においても不衛生な作業をしているに
違いありません。

 ★次に製品をチェックします。ポイントは食パン、ペストリー
です。
「食パンのチェックポイント」
1、焼き色
食パンは焼成時間がほかの製品に比べると、焼成時間が長いため
窯を早く空けたいために、手抜きして短時間で焼こうとしている
ことがまま見受けられます。判断基準は焼き色です。白っぽい
ぼやけたような焼き色の食パンは×。しっかりと焼き込まれた
こんがりきつね色に焼き色がついていれば○。
2、ホワイトライン
食パンの上部の角の白いラインをホワイトラインといいますが、
たまにそのラインがなくなって角張っている食パンを見受けます。
熟成がオーバーなのでこれも×。

「ペストリー、クロワッサンのチェックポイント」
1、層の状態
層がきれいにでているか?
ペストリー、クロワッサンは二次発酵させる時の温度によって
製品の状態がまったく変わってしまいます。時間を短縮したいが
ためについついホイロ
(二次発酵させるために温度、湿度を可変できる機械)の
温度、湿度を上げてしまう傾向があります。
油脂の融点(固形の油が液体に溶けるときの温度)以上に
ホイロを設定すると、二次発酵の段階で油脂が流れて、層の
状態がぼやけて、製品のボリュームもなくなります。
2、焼き色、底辺の状態
 パンの焼き色は明るいきつね色が基本。くすんだり、
ぼやけたり、白っぽい色は配合、窯の温度、熟成の状態など
何らかの欠陥が原因です。
3、パンの底辺の部分の状態
 パンの底辺の部分は、パンの状態を判断する良い材料に
なります。パンの底が広く、腰がなくべったりと落ちている
パンは、ホイロの温度が高かったり、パンの熟成が進み
過ぎていたり、窯の下火が弱かったりして起きる症状です。
パンが力強く立っているかは、パンの健康の一つの
バロメーターです。

以上は、店の外からでも観察できます。こんな視点で
パン屋さんを見れば
買って失敗することはまずないです。

明富夢はどうなのか?
それは、あなた自身の目で確かめてください。

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